グローバル化 [PRESIDENT Online] 2011年05月06日

ここが間違い! わが社の「グローバル人材」戦略

新卒事務系全員、技術系の半数を海外へ送る日立

 多くの企業で、やっと人材のグローバル化を進める機運が高まってきたようだ。各社の新たな“人材グローバル化”施策がマスコミにとりあげられることも多くなってきた。

 例えば、日本経済新聞によれば、日立製作所は2012年春に入社する社員から、事務系は全員、技術系も半数を将来、海外赴任することを前提に採用するという。また、若手を対象にした語学留学や海外での実務研修、長期の海外出張なども大幅に拡充する。

 同社は12年度の海外売上高比率を09年度の41%から50%に引き上げることを目指しており、これは、早期に海外を経験させて、将来、管理職として海外に駐在したときに即戦力となる人材を育てるための仕組みである。

 また、三菱商事、丸紅など大手商社も来年春から20代の全社員に海外経験を義務付ける新制度を導入するという。具体的には、語学や実務研修などの名目で半年から2年程度順次派遣する。主戦場が新興国を中心とする海外にシフトしているため、若手のうちに経験を積ませ意識改革を狙うという。

 さらに、これらが主に若手対象であるのに対し、管理職層をターゲットにした施策としては、ファーストリテイリングが、ユニクロの海外事業展開へ向けて組織と人員配置を見直すなかで、国内の店長と本部の管理職ら合わせて、約900人全員を3~5年以内に海外拠点に派遣するという報道もある。商品開発などに従事する社員も100人規模で海外に異動させるという。

 また楽天などの著名企業が、“社内公用語”を英語にするという報道もあり、また新卒採用において、留学生枠を設ける企業も出てきた。

 ビジネスがグローバル化するなかで、これまで主にドメスティックな要素だけに関心を奪われてきたわが国の人材マネジメントに、「グローバル」というキーワードが急速に注入されているのである。ここしばらく人材のグローバル化の議論はちらほら聞こえていたが、今年になって勢いづいた。私に言わせれば、やっと……という感覚である。

 だが、同時にこのフィーバーのなかで、もう少し落ち着いて自分の企業なりに「人材グローバル化」の意味を整理し、人事上の戦略をたてて取りかかることが必要だと考えている。なぜならば、人材マネジメントはあくまでも企業戦略に沿った経営活動であり、戦略から見て意味のない人材グローバル化を行うことは貴重なコストを無駄にし、ひいてはコア人材の流出など、本来の企業の強みを削ぐ可能性があるからである。

 多くの企業にとって、ビジネスの視点から見た「人材のグローバル化」とは、単純に言って、営業、生産、研究開発など、どういう機能であったとしても、国境を越えたビジネスができる人材の確保であろう。また、個人で見れば、その人材がどの程度国境を越えた仕事ができる能力があるかなのである。


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