2010年03月01日(月)

顧客満足度を知る「ただ一つの質問」とは

意外!顧客満足度調査の結果は業績に関係がない

フレッド・ライクヘルド

 私のお気に入りの顧客満足度調査を教えよう。ニューヨークのセントラル・パークを一望できる1泊平均700ドルの高級ホテルのものだ。ボーイ、レセプションでの迎え方、ロビーの外観や雰囲気、接客係、レストラン、ルームサービスなど、ありとあらゆるものを評価させる35の質問が並び、そのあとに「当ホテルが高級ホテルであるとどの程度、思われますか」という実にばかげた質問がくるのである。

 実際、顧客満足度調査は今では長ったらしい悪ふざけと化している。以下、顧客満足度調査が役に立たない10の理由を挙げてみた。

(1)質問が多すぎる

 企業は山ほどの質問を並べてしまう。それが調査の費用を押し上げ、回答する意欲をそぎ、回答者を少なくする。企業を対象とする調査でもマイナスになる。大手テクノロジー企業からの130もの質問が並んだ電子メール調査に、エンジニアがいらいらするのは当然だろう。ある物好きな人間の計算によると、8万5000人の社員が調査に26分費やすとすると合計3万7000時間近い労働時間となり、1時間の労働価値を100ドルとすると、調査には400万ドル近いコストがかかる。

(2)的外れな顧客が回答する

 あなたは経営者として、長ったらしい調査に回答できるほどヒマな人間の意見を本当に聞きたいだろうか。あなたの会社に最も利益をもたらす顧客は、おそらく調査を無視するだろう。的外れな顧客の意見を聞くことは、企業の顧客対象の調査ではとくに問題だ。一例を挙げると、多くの社員がビジネス・ソフトを使っていても購買の決定を下すのはたいてい一握りの幹部である。ソフトウエア販売業者が顧客リストの全員に調査を送った場合、多忙な幹部はそれを無視するか、秘書に回答を任せる。ほとんどの回答者が、決定権のある幹部とは重視する点が必ずしも一致しない人という結果になるだろう。

(3)問題がしかるべき社員に届かない

 顧客が不満の原因をきちんと答えたとしても、その情報はそれを解決できる人々のところには届かず、その顧客はマーケティング・レポートの単なるデータの一つになるだけだ。だいいち、山ほどの質問に対する膨大な量の回答に、現場の社員がどうやって対応できるだろう。調査の回答は問題解決のための資金を投じるに値するだけの経済的価値を持つ顧客から得る必要がある。しかし、顧客の匿名性は市場調査の神聖な原則であり、根本原因や可能な解決策を探るために追加質問をすることは、まったく不可能となっている。

(4)調査を装った売り込みになっている

 あからさまな売り込みの電話を受けたときより最初に2、3の質問をされたときのほうが、潜在顧客が電話を切る確率が低いことを、販売業者は経験から知っている。結果として、顧客は調査らしきものを一切、信用しなくなる。実際、多くの企業が調査会社を使って顧客への電話調査を行っているが、顧客の問題を解決したり、顧客の経験を高めたりするつもりはまったくない。

(5)調査結果は業績と関連していない

 ベイン・アンド・カンパニーの調査チームは一貫して、満足度調査の結果と収益性や成長を押し上げる顧客行動の関連は、せいぜいよくて微々たるものだという分析結果を得ている。たとえば、個々の顧客について詳しく分析してみると、一般に離反顧客の60~80%が離反前の調査で「満足」もしくは「きわめて満足」という回答を寄せていることがわかる。しかも、80%とか90%の満足度評価を得ている企業でも、一見したところ顧客ロイヤルティと思われるものからなんら経済的恩恵を受けていない場合が多い。

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