グローバル化 2012年06月07日

顧客起点でのビジネスモデルの実現テクノロジーがマーケティングを革新する

 社会的にも、経済的にも変化が急速に進む新興国。そこでのマーケティングには、従来にない取り組みが必要とされる。1つはテクノロジーを活用することで、顧客のカバレッジを広げ、かつ個々の顧客の動向とその変化を早くつかむこと、もう1つはマーケティングとサプライ・チェーンとを同期化すること。日本IBMで戦略コンサルティングを担当するパートナーが、顧客起点のビジネスモデルの構築の要点を語る。

テクノロジーが企業を変える

 IBMがグローバルで2年に一度行っている全世界のグローバル企業経営者への聞き取り調査である「IBM Global CEO Study」(以下、CEO Study)。2012年版は世界で1,709名、日本で175名にインタビューを実施した。
今回のテーマは「『つながり』による優位性の構築」。経済は地域や国境を越えて連結している。また、9億人ものユーザーがいるサービスまで登場したソーシャル・メディアで、人々はより広い範囲で密接にコミュニケーションをとるようになった。こうした環境をIBMではコネクテッド・エコノミーと名付け、その中で成長していく企業とはどういうものなのかを探る内容になっている。

池田和明
日本アイ・ビー・エム株式会社 グローバル・ビジネス・サービス事業 戦略コンサルティンググループ パートナー

「テクノロジーに対する経営者の方々の関心の高さには驚きました。テクノロジーは、製品やサービスに組み込まれるだけでなく、企業のビジネス・プロセスを革新し、さらに人々のあらたな『つながり』を作り出すことで、企業の形さえも変えようとしています」
CEO Studyで数多くの経営者にインタビューした、日本IBMで戦略コンサルティングを担当するパートナーである池田和明氏はこう語る。

「IBM Global CEO Study 」では、毎回、今後3年から5年の間に自社に影響を与える外部要因について質問している。テクノロジーという回答は、2004年調査では6位だったが、調査ごとに順位を上げてきた。そして今回調査では、CEOの73%がテクノロジーと回答し、はじめてトップに立ったという。

グローバル企業のCEOが意識するソーシャル・メディア対応

CEOは、今「ソーシャル」旋風を目の当たりにしている。Facebook、Renren、Twitter、Weibo、Foursquareなとのサービスが世界に広がっている。モバイル・デバイスも人々に浸透しつつある。

「テクノロジーは、効率性を飛躍的に向上させるものである、という見方は時代遅れです。いまや、テクノロジーは、人々の相互理解とコラボレーションを実現するものであり、創造性やイノベーションの推進力なのです」

2012年調査では、今後3から5年のうちに、ソーシャル・メディアがフェース・トゥー・フェースに並ぶ主要な顧客接点になると考えるCEOは57%におよんだ。ソーシャル・メディアは、顧客に関する洞察の源泉であり、顧客とのコラボレーションの手段であると考えられている。ソーシャル・メディア対応はトップレベルの経営課題であるという認識が幅広い業種業態の企業へと拡がっている。

ソーシャル・メディアの活用は新興国市場でこそ有効

新興国では、大量の中産階級が発生している。そうした中産階級の好みの変化は激しい。

「日本は豊かになってから時間が経ち成熟しています。所得も伸びませんが好みも急には変わりません。しかし、新興国の消費者は、急激に所得が伸び、それともに好みが変わっていきます」

消費者を理解するために、現地に行って、極端に言えば生活を共にして、消費者の生活や行動様式を研究して、製品開発などに生かすこと。これはエスノグラフィーとよばれ文化人類学におけるフィールドワークの手法として発達したものである。
近年、日本企業でも、新興国の消費者の調査のために、調査会社の情報やアンケートだけに頼るのではなく、エスノグラフィー使った調査が積極的に取り入れてられていると池田氏は指摘する。

このときに問題となるのは、カバレッジである。BIRCsだけでも膨大な消費者が存在し、かつ、同じ国でも地域による違いは大きい。カバレッジを広げ、かつ急激な変化についていくことを、従来どおりの方法で両立さえようとすると、コストと時間がいくらあっても足りない。

「BRICsをはじめとした新興国でのモバイル・デバイスの普及が進み、多くの人々がソーシャル・メディアを利用しています。ソーシャル・メディアは一人ひとりが生活者として参加する場であり、楽しいことや自慢ができる話題を交わし、その中で盛り上がる事柄を通じて、企業が消費者の持つ考えを知ることができます」

「ソーシャル・メディアの中での人々のコメントや行動様式を分析することで消費者を理解する、『デジタル・エスノグラフィー』とでも呼ぶべきアプローチが可能になります。またソーシャル・メディアを通じて、企業側から、彼ら、彼女らに働きかけを行うこともできます。先進国でもこうした取り組みが始まっていますが、新興国でこそより有効であると考えています」


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