2010年08月06日(金)

強い店舗づくり:TSUTAYA那覇新都心店【2】

やっかいな問題を解決する議論の進め方

山田清機/コラム:流通科学大学学長 石井淳蔵

QSCサーベイで全項目100%達成!

 こうした努力が実って、11月に実施されたQSCサーベイで、那覇新都心店は全項目で100%達成という驚異的な数字を叩き出す。むろん、全国第1位の成績だ。なぜ、ここまでやれたのか。

「1回目で私の思いを伝えて以降、スタッフさん全員が思いを伝え合う環境が出来上がっていたのです。私自身スタッフの経験があり、上からガミガミ言われると反発を覚えた記憶がありましたから、上からものを言わず、スタッフ目線で話しかけたのがよかったのだと思います」

 2回目のTSCで那覇新都心店が準グランプリに輝いたのは前述の通りだが、実は、この店舗が2年連続でTSCの舞台に上がるには、それなりの下地があった。以前から、毎月3種類のミーティングを開催してきたというのである。ひとつはスタッフだけのミーティング、もうひとつがスタッフのリーダーと社員の混合ミーティング。そして、社員だけのミーティングの3つである。

 スタッフだけのミーティングで、社員には面と向かって言いにくい不満が出てくる。それをスタッフと社員の混合ミーティングで、スタッフのリーダーが匿名の形で社員に伝える。そこで解決できるものは解決し、解決困難な問題は社員だけのミーティングで議論して答えを出す。

 那覇新都心店は、具志の言う「社員とスタッフの壁を取り払う」伝統を以前から持っていたわけだ。だから、もともとスタッフに“やらされ感”が薄かった。

 実際に店舗を覗いてみると、スタッフの表情がみな明るく、本当に楽しそうに仕事をしている。“大人の文化祭”とでも呼びたい雰囲気に溢れているのである。

 那覇新都心店はTSCを梃にして、上からの押し付けでなく、スタッフの意見を積極的に吸い上げることで店舗の質とサービスを向上させ、同時にスタッフをモチベートすることに成功した。だが、この事例、まったく別の見方もできるのではないだろうか。筆者が思い浮かべたのは「OK Wave」や「教えて!goo」などの、Q&Aサイトである。

 TSCはスタッフが主人公となって、業務改善の成果を発表するイベントだ。発表を見た他店舗のスタッフは、それを持ち帰って日常の業務に取り込んでいく。本部がやるのは、極論すれば、イベントという器を提供するだけ。日常的にも、本部は大まかな方針書を提示するだけで、具体的な運用は各店舗に任せている。こうした企業風土は、那覇新都心店の取り組みと入れ子の関係にある。

 TSUTAYAは各店舗の自主性を重んじ、各店舗が生み出したアイデアをTSCや社内誌「ivy」を通して共有することで、店舗の質を向上させている。マニュアルの徹底とは正反対の運営方法……TSUTAYAはひとつのソーシャル・ネットワークなのかもしれない。(文中敬称略)

※すべて雑誌掲載当時
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