2010年03月11日(木)

小さな成功体験を重ねて、社員に「勝ち癖」をつけていく アイケイコーポレーション 加藤義博社長

社長が語る「人材」の戦略

北村和郎(ダイヤモンド経営者倶楽部)
オートバイ買取事業で急成長したアイケイコーポレーションは、まだ設立11年。若い会社だけあって、人材育成の考え方も斬新でユニークだ。目標設定は1ヵ月ごと、それを記入したノートを常に持ち歩き、細かなPDCAサイクルで実現へ向けて動かしていく。それを通して成功体験を積んでほしいというのが社長の思いである。

来てくれた人を育てる以外になかった

 金融やマスコミのように、業種名だけで人が集まるところもあれば、そうじゃない業界もあります。私たちが会社を興したころのオートバイ買取業界は、まさに後者の典型でした。当時は、「バイク=不良」のイメージがまだまだ強く、そのなかでも当社は全く無名の個人商店のようなものでしたから、採用はあまりに大変でした。

株式会社アイケイコーポレーション代表取締役社長 加藤義博氏

 だから「人を選ぶ」どころではありません。来てくれた人を育てるしか方法はなかったんです。しかし面接の際に、私の夢とかビジョンとか業界の可能性を熱く語って、それに共感してくれるかどうか、その入り口の部分にはかなり力を入れました。

   知識や経験値は足りなくても素直さやハングリーさを持っているタイプが多かったので、言ったことを忠実に、教えたことを素直に吸収していってくれました。

   「とにかく育てるしかない」

   その思いのもと、経営者として何よりも人材教育やビジョンの共有に時間を割きました。そして社会人としてのマナーから、実務知識、そして経営的なことまで、さまざまなことをあらゆる方法で伝え教えていきました。

   ですから当社は、人材育成の仕組みについてはかなりノウハウを溜め込んできたつもりですよ。

自分の目標・会社の理念を書き込んだノート

 年度始めには、年度の目標設定や予算設定をします。でも、どれだけの人がそれをしっかり覚えていると思います? 何となく働いていると半年前に決めたことを即答できない人が多いですよね。

 そもそも自分の目標を即答できない人が、目標を達成できるわけがありません。ですから私たちは、管理職に自己の目標管理を記載させたオリジナルのノートを持たせています。それを開けば、すぐに自分と部署と会社の目標や現状が把握できるように。そしてそのノートには数値だけではなくて、会社の歴史とか理念とか創業時の思いとか、そういう今まで積み重ねてきたさまざまなことも同時に記載しています。

 まだ社員数が少ないころは、目の前で語り合って意思疎通を図ることや、価値観やビジョンの共有ができていましたが、社員が900名にもなってくると全員とコミュニケーションをとることはとても無理です。

 それでもまだ、最近までは全国の拠点を巡って、みんなと語り合う期間を集中的に設けたりもしましたが、それも限界になってきて、会社の方向性や本来の社風を共有できる仕組みづくりをより一層強化していかなくてはならなくなってきました。その一つの形がこのノートに表されているのです。

目標設定は半年や1年ではダメ

 同時に、社員の成長と事業の成果を高める行動管理の仕組みづくりにも積極的に取り組んできました。それが当社独自のEMGC(Every Month Growing up Campaign)活動です。これは、社員が小さな成功体験を積み重ねていくなかで「勝ち癖」をつけることを目的としています。1ヵ月ごとに目標を設定、達成のための計画を1週間単位で作成し、上司と客観的な見直しをしながらPDCAサイクルを実行していくものです。

 なぜ1ヵ月ごとか? 達成までの期間を1年や半年にしてしまうと、達成不可能な目標を設定してしまったり、忘れてしまったりするからです。実際、1ヵ月毎の目標設定は社員のモチベーション維持や計画の実行にとても効果的でした。

 このEMGC活動における計画の達成度合いは点数化され、部署ごとに代表を選抜します。そして役職者が投票を行ない、MVPを選出します。当社には、未来創造ミーティングという会議があり、中期の経営目標策定の参考として、経営陣と何人かの社員が集まり、会社に足りないものを洗い出すのですが、 MVPはこの会議に出席することも可能です。会社の経営に参画している実感が得られるということで、社員のEMGC活動に取り組む意欲が高められています。

 EMGC活動は、まずトライアルとして4店舗に導入し、その後、シニアリーダー層、リーダー層、一般層に広めていきました。全社活動をスタートしたのは2008年のことで本当に最近なのですが、今後も続けていくうちに社内文化になっていけばいいなと思っています。社員には、これを繰り返すうちに必ず成功するという実感と「成功体験」を積み重ねてほしいと思っています。

 社員規模は900人までに成長しましたが、私たちは永続的に続く1万人規模のスケールの大きな企業を目指しています。そう考えると今の900人のメンバーはまだまだ「創業メンバー」です。

 社員にもそういうことをいつも語りながら、あるべき理想の姿をみんなで作っていこうと呼びかけています。

アイケイコーポレーション 
オートバイ買取の最大手。オートバイ買取専門店「バイク王」を全国展開し、無料出張買取や申込受付24時間365日体制など、業界にそれまでなかったサービスを実現した。
2006年東証2部上場。
http://www.ikco.co.jp/
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