産地研修でとらふぐの歯を切る
「東京で根づくはずがない」との酷評も打ち破り、「とらふぐ亭」は50もの店舗を展開することができました。しかし、ふぐ料理における市場規模は首都圏だけでもおよそ400億円。ここに私どもの伸びしろはまだまだ残されていると考えています。
株式会社東京一番フーズ代表取締役社長 坂本大地氏とはいえ現在の環境下では、積極的な拡大戦略を続けるより、一店舗一店舗の真の実力を高めるような見直しや取り組みを重視しています。また、社員 同士の団結意識を醸成するため、入社1年目から3年目の社員を中心に、縦横斜めと幅広く交流できる機会を増やすよう努めています。
最近では社員およそ60 人で海に遊びに出かけたりもしたようですよ。社員同士の関係のよさはわが社の魅力の一つといえるのではないでしょうか。
また、1泊2日の「長崎研修」では、産地に直接乗り込んで地元の方々のお仕事をお手伝いさせていただいています。
とらふぐに非常に鋭利な歯が生え ていることはご存知でしょうか。そのまま放っておくと、お互いのかみ合いによって傷がついてしまうことがあるんですね。きれいな状態で出荷まで育て上げる ためには、1匹ずつ上下の歯を丁寧に4回から5回切らなくてはならないんです。非常に骨の折れる作業なのですが、社員には研修のなかでそういったことを体 験してもらいました。
このように産地の方の仕事を肌で感じるなかで、社員の意識は自然と向上します。
自らの起業失敗体験がベース
私は社員に成長してもらいたいと願っています。「成長しなさい」というメッセージは常に伝えておりますし、そのために若手のころから大きな仕事に 挑戦できる環境を用意しています。また、夢を持って仕事に取り組む社員が多いのも事実です。彼らには東京一番フーズの環境を活用して経験を積み、ゆくゆく は、私がそうであったようにぜひ起業をしてもらいたいのです。
私はかつての勤め先であるディスコで、魚屋の担当を任されました。ディスコと魚屋さん。普通、なかなか結びつかないと思いますが、魚屋はディスコの 経営者が手がけた新規事業だったんですね。右も左もわからないまま飛び込んだ魚屋の世界。慣れない現場で叱られてばかりの毎日でしたが、そんななかで一か ら仕事を覚えていきました。
いずれは起業できると入社当初言われていたこともあり、魚屋を担当して数年経ったころ、社長に独立を打診。2000万円を出資してもらい、ディス コを一つ任せてもらえることになりました。アメリカで本場のディスコをリサーチし、そこで見たもの、触れたものを積極的に取り入れるなど、よりよいものを 作り上げるために奮闘しました。しかし経営は行き詰まり、店をつぶしてしまうという結果になってしまったんです。
しかしそれでも経営をあきらめきれず、社長に再びチャンスを与えてもらえるよう志願。なんと一度失敗をした私に、社長は改めて2000万円出資し てくださいました。そしてとらふぐ亭を立ち上げるに至ったのです。失敗をした私にもう一度機会を与えてくださったこと、このことに対する感謝の念は言葉に 言い表すことのできないものです。
がんばっている20代30代の人はたくさんいます。私がそういった経緯をたどっていることもあって、彼らをみると応援したくなってしまうんです。
本物の「商売人」を輩出したい
未来のリーダー育成のために社内で実施している制度としては、将来独立を考える社員が経営を学ぶ「坂本塾」というものがあります。23歳で4000万の借金を背負うことでわかった商売の厳しさ。そういったものを若い世代に伝えることができたらと考えています。
現在、塾生は各店舗のマネジメント層が中心となっていますが、ここで学んだ社員の担当する店舗の売り上げが急進するなど、成果は上々です。
外食産業はほかの業界よりも比較的成功しやすいといえると思います。成功したときに、起業当時の志を持ち続けることができるのか。それとも横道に 逸れてしまうのか。私は自分で考え、自分で判断することのできる本物の「商売人」を輩出していきたいです。「東京一番フーズから、100人の経営者を輩出 する」。これが私の夢見るところですね。
「泳ぎとらふぐ料理専門店 とらふぐ亭」を運営。「新しいふぐ文化を、東京に」をモットーに、東京・神奈川・埼玉・千葉に約50店舗を展開する。2006年東証マーザーズ上場。
http://www.tokyo-ichiban-foods.co.jp/














