リーダーシップ・組織 [JBpress] 2010年01月27日

定年を廃して賃金を上げたら業績が伸びた60歳を超えた社員の生産性が最も高い樹研工業

 その機械を操作するのはCAD(コンピューターによる設計)ではなく、数式が必要だ。現在その設備の担当者は商業高校の卒業生だが、1年間必死で高等数学を勉強し、自由曲面の切削もこなせるようになったという。

 現在では精密工業学会で発表する機会もあるそうだ。博士号を持つ研究者との意見交換も行っているということから、同社の社員の「勉強」のレベルのすごさが分かるだろう。

組織の活力を持続する

 個々人の潜在能力を発揮するには会社組織内部の環境も大切だ。樹研工業のもう1つのユニークな人事的取り組み――それは「定年退職がない」ということである。

 社員には60歳で退職金という形の一時金は支給するものの、再雇用という形で契約形態を変えるのではなく、そのまま正社員として働くそうだ。

 そして、その間も継続して昇給は続けるという。これも世間一般の常識には反することで、通常の賃金曲線は50歳も半ばを過ぎれば下降していくのに、同社では一貫して右肩上がりを維持しているのだという。

 そのような高待遇で定年制度を廃止した同社によると、その効果は3つある。

 まず、同社の社員は60歳過ぎたあたりが一番生産性が高いのだそうだ。それは損益計算書にしっかりと表れていて、定年制度を廃止してから、平均年齢と人件費が上がるたびに会社の業績は上がっている。人件費の伸び以上に利益が伸びているというのだ。

 また、同じ人が長期間勤めてくれるのは中小企業にとっては技術開発の根本を支える土台でもある。大企業はシステマティックに技術開発できるが、中小企業のレベルではそれができないため、同じ人がずっといてくれることで技術が保たれる、と松浦氏は語る。

 実際に親子2代にわたって同社に勤めている社員もいるそうだ。


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