グローバル化 [ダイヤモンド・オンライン] 2013年08月27日

ニッポンのグローバル化はいつだ!? 
―世界は日本人のビジネスをこう見る【第12回】寄付の文化が根付かないのは国民のせい?

日本人経営者が15億円を
香港の大学に寄付

 海外、特に欧米などでは、個人の名前を冠した学校の校舎や図書館、集会ホールなどがよく目に付きます。大学や地域に多額の寄付をした人物がいることを示すものです。額は大きくなくても、公園のベンチや遊具などの設備に寄付した人物のネームプレートが隠れていることもあります。

 自治体にとっては設備費がかからず、寄付者も善意を形に残すことができます。こんなにいい仕組みはないと思うのですが、どの先進国よりも財政がひっ迫しているはずの日本ではなぜか、あまり広まっていません。これはいったいなぜでしょうか。

 典型的な事例を見てみましょう。

 シドニーを拠点に、オーストラリアはじめ、カンボジア、香港などアジア各地で不動産開発を手掛けるパシフィック・インベストメントという独立系の日系デベロッパーがあります。同社の社長である康本健守氏は、父親が日本で創業したビル管理会社を引き継いで以来、父親のモットーを誠実に守ってきたと言います。それは「その土地で得たものは、その土地に還元する」というものです。

 康本氏はかつて日本で不動産投資をしていたのですが、日本がバブル経済に突入した1980年代末に国内投資が不可能になり、香港に進出。2005年に香港の資産売却すると、約1億HKドル(当時約15億円)の売却益を得ました。

 そこで康本氏がしたことは、その全額を香港の大学に寄付するというものでした。当時、筆者も香港に駐在しており、財閥などの大富豪でもない一介の経営者が巨額をポンと寄付したことに、地元メディアでも大きな話題になったことを覚えています。

 香港では、不動産は3年間の保有で長期保有とみなされ、売却によるキャピタルゲインはに非課税です。まして無償で寄付しようというのだから、贈与税などもかかりません。康本氏の善意は、香港で十分に表された形となりました。

 康本氏はその後、アジア諸国と日本の国際交流のための公益財団法人「かめのり財団」を日本で立ち上げています。ここでも自身が保有していた時価10億円相当の不動産を財団に寄付しようと試みました。


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