2010年02月04日(木)

社員間の結び付きを強めるべく、ソーシャル・ネットワーク技術を全社導入した米国P&G

SNSやWikiなどによって社内コミュニケーションを活性化したことで、
社内の情報共有が進み、変化への対応意欲も高まる

リック・スワンボルグ

社内の情報系基盤にソーシャル・ネットワーキング技術を統合

 社内における情報共有の重要性はわかっていても、それを本格的に実践するのは難しいものだ。特に企業の規模が大きくなればなるほど、全社的な情報共有はより困難になる。消費財メーカー大手の米国プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、社内コミュニケーションの強化に向け、全社を挙げてソーシャル・ネットワーキング技術の導入に取り組んだ。

 これまで、電子メールやインスタント・メッセンジャー(IM)といった従来型のコラボレーション・ツールは、同じ業務にかかわる社員同士など、主に強い結び付きのある間柄でのコミュニケーションを促進するために使われてきた。これに対してP&Gでは、コラボレーションの枠組みを拡大する取り組みとして、社内の情報系システムに各種のソーシャル・ネットワーキング技術を組み込んだ。目的は、目標や利害関係は共通だが、直接的な接触のない社員同士など、日ごろの結び付きが弱い人々の間のコミュニケーションを、より緊密にすることだ。

 P&Gは、世界160カ国以上に約13万8,000人の社員を擁する大企業である。それらの社員1人1人のアイデアや経験を共有できれば、多くのメリットが得られるだろう。しかし、その規模の大きさゆえに、全社的な情報共有の実現にはさまざまな課題が付きまとう。それを解消すべく、同社のグローバル・ビジネス・サービス・グループでは、イントラネットにソーシャル・ネットワーキング技術を取り入れ、部門/部署の垣根を越えた新たな価値の創出を可能にしたという。

 こうした仕組みを作り上げるため、同社のITイノベーション・グループとITチームは、まず研究開発やマーケティングなどのビジネス部門を支援する実験プロジェクトを開始した。そして、Wikiやブログといったコンテンツの利用方法が確立されたところで、全社規模のWeb 2.0プラットフォームとして、テリジェントのオンライン・コミュニティ・プラットフォームを導入したのである。

 「PeopleConnect」と呼ばれるこのプラットフォームは、プロフィールやステータスの設定、ディスカッション・スレッドをはじめ、Facebookとほぼ同様の機能を備えており、各社員はグループを作って参加したり、ブログやWiki、フォーラムなどを通じて交流を図ったりすることができる。

 同社のエンタープライズ・アーキテクチャ・ケイパビリティ担当マネジャーであるマイケル・フルトン氏は、「社員たちは当初、Wikiやブログ、ポッド・キャストなどは、テクノロジーに詳しい人たちだけが使うものだと考えていた。しかし、このプラットフォームを導入したことで、だれもが簡単にそれらのサービスを使えるようになった」と話す。実際、正式な告知をする以前から、約1万2,000人の社員が自主的にPeopleConnectを利用していたという。

コミュニケーションの強化が、社員の意欲を引き出すきっかけに

 P&Gの取り組みがユニークなのは、ユーザーと協力して、既存の業務プロセスに合わせてツールを統合/導入していることだ。例えば、同社の社員が情報を探す際に使うエンタープライズ・サーチ・ツールでは、PeopleConnect上のコンテンツもインデックス化し、検索できるようにしている。また、ユーザーに利用してもらいながらシステムを改善していったり(この手法は、「永遠のベータ」と呼ばれる)、データへのアクセスを基本的にオープンにしたりするなど、開発手法やセキュリティ対策に関してもWeb 2.0的なアプローチを採用しているという。

 その一方で問題なのは、サービスの浸透率や利用状況といった指標だけでは、PeopleConnectの導入効果を把握しきれないことだ。とは言え、地理的に分散する150人の社員から成る作業グループでは、メンバーがチームの一員として力を発揮できるようになるまでに通常は半年から1年かかるのが、PeopleConnectの導入後は約2カ月で済むようになったという。さらに、「PeopleConnectを導入したことで、物事が進むスピードや透明性が高まっただけでなく、社員たちが新たな変化への適応に意欲的になった」とフルトン氏は語る。これらのエピソードが、他のいかなる指標よりも雄弁にソーシャル・ネットワーキング技術の導入効果を物語っていると言えるかもしれない。

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